私の屍を越えて行って欲しいブログ

被験者:自分(と私物)で人体実験中。人生のトライル&エラー。あと、趣味の刀剣乱舞関係。

刀剣のことなんて分からなくても、【鬼切丸 別名 髭切(北野天満宮蔵)】だけ鑑賞できるようになる記事②姿編

今回は刀剣鑑賞における3つのポイントの一つ目。

1.刀身の姿(全体像)←ここ
2.地金(刀の鉄の風合い。刃じゃない部分)
3.刃文(刃の白い部分)
 4.+α 銘や鞘について

について説明したいと思います。

 

 Ж 目次 Ж

 


1.刀身の姿(全体像)とは?


「刀の鑑賞は姿から。」
…【こんのすけの刀剣散歩】(※知らない人はdアニメかなんかで観てね。)から学んだことです笑
ってことで、まず姿(全体)からみていきましょう。
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どうでしょう?
これが兄者ですよぉおおお!!!!!
「なんとなく、美しい…!!!!!」ってことは分かりますね。
どこがどう美しいのかを今から説明しますね。


まず、基本の基本の説明です。


☆太刀とは?

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まず、髭切は[太刀(たち)]です。
太刀と言うのは、平安後期~室町初期くらいまでに多く作られた、刃長が60㎝以上の、腰から吊り下げて装備する、反りが強くついた刀をいいます。
髭切だけでなく、膝丸・三日月宗近・石切丸・鶯丸・大包平鶴丸国永…etcなどの古い刀達は、左腰に紐[太刀緒(たちお)という]でプラーンと刀を吊るしてますよね。吊るしてる刀達は皆[太刀]です。
太刀を身に着ける事を「佩く(はく)」と言います。ズボンと同じ感覚ですね。

※一方、新選組メンバーは左腰の帯に刀を差してますね。差してる刀は[刀/打刀]or[脇差]です。
刀を身に着ける事を「差す/指す/帯刀する」と言います。


☆太刀の歴史背景とは?


髭切が生まれた時代…平安末期は、騎馬戦がメインとされる時代でした。
鎧を身に着け、馬に乗り、「やあやあ我こそは!どこどこのだれそれで~∞…いざ尋常に勝負~!」と名乗りをあげ、戦う時代だったのですね。

名乗りもあげずに攻撃するのは、試合始まって無いのにタックルかます反則行為と一緒ですよ!問題になりましたね!


そうなると、
●馬上から攻撃する分、刀身が長く
●刺すより切る事に特化している為、反りがあり
●鎧の下の肉体に刃を入れる為に、鋒(きっさき)の部分が細い
形状の刀が戦闘に適していたのです。


☆いざ鑑賞!


そこで、もう一度髭切の姿(全体像)を観てみましょう。

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まず[太刀]であるため、装着されている時と同じように、刃が下になるように展示されていますね。

※(逆に、[刀]は刃が上になるように展示されます。)


①長さについて


刃長は84.4㎝。
太刀の中でもやや大振りで、力強い印象があります。


②反りについて

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反りは3.7㎝。
平安の太刀らしく、しっかりとカーブがついています。


③反りの種類

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髭切は、『[腰反り(こしぞり)][踏ん張りが強い(ふんばりがつよい)]』と評されます。
[腰反り]とは、反りの深いポイントが中心より[茎(なかご)=持ち手]側…つまり腰あたりにあり、[鋒(きっさき)=刃先]にいくほど真っすぐになる形のことです。


[踏ん張り]とは、刀の身幅が茎側で太くて、刃先へいくほど細くなっていく形のことです。
力強い中にも曲線が美しく、優雅な印象を受けますね。
武家に雅ってのも変ですが…。


④造込み(つくりこみ)の種類について


[造込み]とは、刃の付け方や断面形態の違いの区別を言います。
髭切は[鎬造(しのぎづくり)]と言われる形態です。
[鎬筋(しのぎすじ)=峰と刃の境界にある筋]がある、一般的な太刀や刀の姿です。


⑤棟(むね)/峰(みね)の種類について

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[棟]/[峰]とは刃の反対側の部分です。
時代劇などで「安心せい、峰打ちじゃ!」とか言いますよね。
あれは「刃で切った訳ではなく、刀の反対側で殴打して気絶させただけですよ。」って意味です。…鉄の塊で全力で殴ってるので安心できませんな…。
さて、髭切は[庵棟(いおりむね)]と言われる種類の棟です。
これは一般的な棟の形で、上のところが三角形になっています。


⑥鋒(きっさき)/切先の種類について

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[鋒(きっさき)]とは、刃の先端のことです。一番尖ってるところですね。
もの●け姫の歌で「♪その鋒に~よく~似た~そなたの横顔~」ってありましたね。
鋒にも大小や形状の違いがあるのですが、髭切の鋒は[小鋒(しょうきっさき)]にあたります。
一般的な鋒より、全体的に小さめです。
古い刀に多い形であり、理由は……そう、歴史のところでも記載しましたが、鎧を身に着けた相手を切る為には、鎧の下に鋒を潜り込ませる必要があったからでしたね。
小さくないと、鎧の隙間を突けません。


⑦樋(ひ)の種類について

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[樋(ひ)]とは刀身に彫られた溝のことです。
刀は鉄の塊なので、早い話が重いんです。
なので、少しでも軽くするために溝が彫られているんですね。
髭切の樋は[棒樋(ぼうひ)]と言われる、茎~鋒まで太い溝が1本彫られたものです。

※上の画像では一部しか見えていませんが、持ち手の部分まで溝は続いています。


樋の上端の処理は[肩いかる(かたいかる)]樋の先端が鈍角で止まる。
樋の側の処理は[片チリ(かたちり)]樋が鎬地の片方に寄っている。
樋の下端の処理は[掻き流す(かきながす)]樋の下端が細い三角で、彫り流したように自然な形。
と思われます。


⑧茎(なかご)の種類について


[茎(なかご)]とは手に握る部分にあたります。
髭切の茎の形状は、特に癖なく、下にいくにつれて細くなる一般的な形です。


⑨茎尻(なかごじり)の種類について

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[茎尻(なかごじり)]とは、茎の一番端の部分を言います。
髭切の茎尻は独特で、[切(きり)]と呼ばれる真っすぐに切り落とした様な形から、さらに刃側を長方形にカットした様な形状をしています。
何故このような形状なのかは調べても出てきませんでした。


☆姿のまとめ


・髭切は古刀らしい特徴を持った太刀。
武家の惣領刀に相応しい力強さと美しさを兼ね備えている。
・特徴的な茎尻(なかごじり)がチャームポイント!

 

 

ここでは姿について説明しました。
どうでしょう?

少しでも、刀剣鑑賞の敷居は下がっていますかね???

 


では続いて、次のページで2.地金(刀の鉄の風合い。刃じゃない部分)について説明したいと思います~。